(1)定款に目的を記載する理由
定款に事業目的を設定する理由は、「取引の安定性」を確保することにあります。定款に記載される目的は、登記簿に記載されます。取引先等は、登記簿に記載されている事業目的をみることにより、その会社がどんな事業を営んでおり、またどの範囲で権利能力を有するのかを確認できるというわけです。
(2)定款の事業目的を記載する際の形式的ポイント
①適法性
適法性とは、事業目的が違法ではないことを指します。また公序良俗に違反した内容も事業目的とすることができません。
②営利性
会社は営利を追求することを目的として設立されるものです。そのため、営利性のない、例えばボランティア活動等を目的に記載することはできません。
③明確性
「取引の安定性」を確保するためには、記載される事業目的が、一般的客観的にわかりやすい必要があります。
(3)定款の事業目的を記載する際の実質的ポイント
①許認可や届出が必要な業種
例えば建設業や不動産業は、事業を行う際は、許認可や届出が必要な場合があります。それらの許認可や届出を行う際に、定款に適合した事業目的の記載がなければ審査が通らないというケースが生じます。中には、事業目的の記載について細かな文言まで定められているケースもあり、事業に必要な許認可等におうじて、事前の確認が必要となります。
②将来やる可能性のある事業も記載する
定款に記載されていない事業を行うことは原則できません。そのため、将来やる可能性のある事業を記載することで、実際にその事業に取り掛かる際に、定款の変更を行わないで済むようになります。
③記載数に上限はないが、書きすぎには注意
将来やる可能性があるからといって、沢山書きすぎる事にも注意が必要です。あまりに沢山の事業目的が書かれている場合、取引先から「何がやりたい会社なのか?」「なんか怪しいな」と信用が得られなかったり、銀行の融資の審査が下りなかったりする可能性が生じます。また、事業目的によっては、銀行口座を開設しにくくなる等の可能性もあるので、注意が必要です。
④最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」という文言を入れる
「書き連ねた事業目的に関連する事業」という意味です。 この文言を加えるだけで、事業目的に関連する事業であれば、広く解釈され認められるようになるので、必ず記入するようにします。
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